#8 船登 惟希さん

2015年2月22日


 

「やりたいことで食べていきたい」けれど、 全員にとって幸せな生き方だとは思わない。
 
参考書作家、船登惟希(ふなとよしあき)さん27歳。新潟県佐渡島生まれ。年に1,000冊以上の本を読む彼の生業は、参考書を作ること。『サマる技術』や『宇宙一わかりやすい高校化学』など、その対象は小学生から大学生までと幅広い。しかしつい2年前まで、彼はIT企業でサラリーマンとして働いていた。なぜ、どうやって、まったく違う業界で独立を果たしたのか。これからどのような生き方を目指しているのか。同じ27歳の友人として、カレー屋さんで語ってもらった。
 
 

だれもが楽しく勉強できる、最強の参考書を作りたい。

 
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「佐渡島」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。彼の出身地には、大きな図書館や本屋がなかったそうだ。「子どものころは、知りたいことを知れなかった。たとえば星に興味をもっても、調べる方法が見つからなかった」いい教材があれば、きっとだれでも、もっと楽しく学べるはず。大人向けに書かれた、自分が好きな本を、子どもでもわかる形で提供したい。そんな原体験が、彼の教材制作への思いを強めていった。

 
 

自分にしかできないことを、やりたかったはずなのに。

 
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船登さんは、新卒で株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)に入社。デジタル×教育といったサービスを考えていたが、いったん教育からは離れることとなった。しかし社内では、2年目にしてMVPを獲得するなど、大きく貢献。ただ、どうしても「自分以外の人でもできるのではないか。自分がやる意味はあるのだろうか」という思いを消すことはできなかった。「もっと、この人がいなかったら、このサービスはできなかったと言われるほどのコンテンツを提供したい」3年目を迎える前に、彼は独立を決意した。
 
 

それぞれ「自分の幸せ」を実現することが大事だと思う。

 
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実は大学時代に初めての著書を出版し、社会人の時点で4冊の書籍を出版していた船登さん。そのおかげで、もし作家になったらどのようなお金の動きになるのか、彼の中での事前シミュレーションはできていたそうだ。漠然とした不安にただ立ちすくむのではなく、まず行動に移してみること。まっすぐに正解にたどり着けなかったとしても、やりたいことを求めて動き続けること。この行動力こそ、彼が「自分の幸せ」に近づけた、ひとつの鍵なのかもしれない。
 
「でもいざ独立してみると、本当に大変でした。今でも、100%自分の好きなことだけをやって生きているとは言えません。ぼく自身は、自分の好きなことで食べていきたいと考えています。でも、自由になることが、全員にとってすべてに勝るほどすばらしい生き方だとは思えません。自由には相応の責任や不安がつきまとうからです。きっと幸せの形は人それぞれで、それぞれ幸せを感じられる生き方が、いちばんいいんだと思います。ただ、幸せを追い求めることを妥協してはいけないと思っています」
 
決して無責任な発言はせず、実体験に基づいて語ってくれた船登さん。彼の多角的な視点は、現在さまざまな岐路に立つ27歳のわたしたちに、自分の幸せとは何かを考えさせてくれるのではないだろうか。船登さんは今後、オンラインでのコンテンツ提供や、オフラインでの講座開講など、さまざまなアプローチで、よりよい教材づくりを目指していく。彼にとっての幸せは、きっと多くの子どもたちの幸せに繋がっていくのだろう。

 
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プロフィール

船登 惟希(ふなと よしあき)/ 参考書作家

1987年新潟県佐渡市生まれ。東京大学理学部化学科卒業。東京大学大学院理学系研究科化学専攻修士課程中退。株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)を経て独立。参考書作家として小学生〜大学生向けに「楽しくてわかりやすい教育コンテンツ」の執筆・出版をおこなっている。著書に『宇宙一わかりやすい高校化学』シリーズ、『大学受験らくらくブック(化学)』『大学受験らくらくブック(生物)』などがある。近著に『サマる技術』星海社新書)。
 

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編集後記

「どうしてまずは紙媒体を選んだのですか?」「紙の本が好きだからです。特に、文庫本のあのサイズが」 …サイズ!? どうやら、初めて図書室で文庫本が並んでいるのを見たとき、あのピチッとそろった感じに感動したそうです。たしかに、小さな図書室ではハードカバーが多く、サイズもバラバラかも。彼の豊かな感性を、垣間見た瞬間でした(笑)
 
 

編集協力

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勝野 小百合 / ライター


ライター・エディター。岐阜県池田町出身の87世代。「書くことで、夢に向かって考動する人を応援したい」をテーマに活動。米国以外で初のTEDx(テデックス)である「TEDxTokyo」でライターを、日本初のクラウドファンディングサービス「READY FOR?(レディーフォー)」でキュレーターを、教育出版社でエディターを務める。

 

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永山 史弥 / カメラマン


長崎県長崎市出身の87世代。福岡の大学を卒業後、就職を期に上京。友人ゼロの状態から東京生活をはじめる。その後、カメラにハマり、休日はイベント風景の撮影や音楽アルバムのジャケット撮影などを行うようになる。国際アドボカシー団体FAVLIC共同代表。国際協力団体夢追人関東支部メンバー。普段は舞台機構会社で設計業務に従事。

 
 

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